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クラウドストレージのバックアップに暗号化は必要?自社に合ったクラウドサービスの選び方も解説します

クラウドストレージのバックアップに暗号化は必要?自社に合ったクラウドサービスの選び方も解説します

Daisuke Nakamura
By Daisuke Nakamura
Sr. Manager, Sales, Wasabi Technologies (Japan)

2024年3月19日

デジタル時代において、データは企業の生命線です。しかし、サイバー攻撃、自然災害、ハードウェアの故障など、予期せぬ出来事がこの貴重な資産を脅かすことも少なくありません。そのため、データのバックアップはただのオプションではなく、必要不可欠な対策となっています。

クラウドストレージは、その柔軟性、コスト効率、そしてアクセシビリティにより、多くの企業や個人にとって魅力的なバックアップソリューションです。しかしクラウドを利用したバックアップを行うにあたっては、データの安全性を保証するため、いくつか注意すべき点もあります。

本記事では、クラウドストレージを利用したバックアップで暗号化が果たす役割に焦点を当てながら、安全かつ効率的なバックアップ戦略のヒントを提供します。

クラウドストレージのバックアップに暗号化は必要

データをクラウドにバックアップする際は、重要なデータが第三者に漏えいしたり、悪意の第三者によってデータの書き換えや改ざんが行われないよう対策が必要です。そのための基本ともいえるのが「暗号化」です。

暗号化は、データを読み取り可能な形式から読み取り不可能な形式へと変換するプロセスのことで、特定の「鍵」を持つユーザーのみがデータを元の形式に戻すことができます。このプロセスを行うことで、もしデータが何らかの方法で漏えいした場合でも、第三者がその内容を読み取ることは非常に困難になります。クラウドストレージの多くはこの暗号化と鍵の組み合わせをサポートしています。

主要なクラウドストレージサービス

データを安全にバックアップするには、信頼性の高いクラウドストレージサービスを選ぶことも大切です。ここでは、多くの企業が利用している主要なサービスをいくつか紹介します。

Amazon Web Services (AWS) S3

Amazon S3は、Amazon Web Servicesが提供するクラウドストレージサービスです。高いスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ機能を備え、ウェブサイトのホスティングからバックアップ、復旧、アーカイブ、エンタープライズアプリケーション、IoTデバイスまで、幅広い用途に利用されています。

Google Cloud Storage

Google Cloud Storageは、Googleが提供するクラウドストレージサービスです。スケーラビリティとセキュリティに優れるうえ、データ分析や機械学習との統合が容易で、あらゆる種類のデータを安全に保存し管理することができます。可用性に優れることから、多くの企業に利用されています。

Microsoft Azure Storage

Microsoft Azure Storageは、Microsoftが提供するクラウドストレージサービスです。ブロブ、ファイル、ディスク、キュー、テーブルストレージオプションを提供し、高いスケーラビリティ、可用性、セキュリティを実現します。エンタープライズレベルのデータ保護と管理機能を兼ね備えています。

Dropbox Business

Dropbox Businessは、Dropboxが提供するクラウドストレージサービスです。チームのコラボレーションを促進するために設計されており、ビジネス用途を念頭に、安全なファイル共有、無制限のストレージ、強力な管理ツールを提供しています。

WasabiHot Cloud Storage

Wasabi Hot Cloud Storageは、Wasabiが提供する高速かつ低コストのクラウドオブジェクトストレージサービスです。Amazon S3との高い互換性と、API費用・ダウンロード費用がかからないシンプルで予算化が容易な価格設定が特徴です。セキュリティ機能も豊富で、悪意のあるアカウント削除を防止する機能なども利用可能です。

バックアップ用クラウドストレージを選ぶポイント

さまざまな種類のクラウドストレージから、自社に合ったものを選ぶにはどうすれば良いのでしょうか?ここでは注目すべきいくつかのポイントを紹介します。

容量

クラウドストレージを選ぶ際は、現在扱っているデータの量はもちろん、将来的なニーズも見越したうえで容量の試算を実施し、十分なストレージ容量が提供されているサービスかを確認しましょう。

機能

候補となるクラウドストレージサービスが、自社にとって必要な機能を提供されているかどうかも確認します。暗号化はもちろん、バージョン管理、自動バックアップ、オブジェクトロック機能などの有無は特に重要です。

コスト

クラウドストレージサービスを導入するための初期コスト、そして毎月発生するコストにも注意が必要です。バックアップソフトウェアによっては、データの整合性確認などのためにクラウドストレージサービスAPIを利用する場合もあるため、予算化においては考慮が必要になります。またバックアップデータをリカバリーする際の、ダウンロードトラヒックに費用が発生するクラウドストレージサービスもあります。必要な機能のために追加料金が発生するかどうかも確認しましょう。

セキュリティ

データの安全性を確保するため、強固なセキュリティ対策を実施している事業者を選びましょう。クラウドサービス側での暗号化機能に加え、自社で独自の暗号鍵を設定できる機能や、オブジェクトロック機能、そしてアカウントが乗っ取られたり内部犯行への対策という意味で、悪意のあるアカウント削除に対する防御が可能なサービスを提供している事業者もあります。

クラウドストレージバックアップを効果的に活用するには

自社に合ったクラウドストレージサービスを選んだら、その機能を十分に活かしてバックアップを行いましょう。具体的なバックアップ手順はバックアップソフトウェアや、クラウドストレージサービスごとに異なります。ここではクラウドストレージの利用や設定に欠かせない基本的なポイントを解説します。

セキュリティ設定

クラウドストレージサービスによって各種セキュリティ機能が提供されていても、利用者がそれを活用しなければ意味がありません。まずはパスワード管理や二段階認証の設定によって、アカウントの安全性を高めましょう。

データ転送速度

クラウドストレージはインターネットを介して利用します。膨大な量のデータを高速で送受信するためには、信頼性が高く高速なインターネット接続が必須です。

ランサムウェア対策

ランサムウェア攻撃からデータを守るには、クラウドストレージのバージョン管理機能を活用するのが効果的です。またクラウドストレージサービスによっては、上書きを無効化するオブジェクトロック機能を提供しているため、データの重要度によっては利用の検討をお勧めします。

マルチクラウド

複数のクラウドサービスを組み合わせて利用する「マルチクラウド」も効果的です。異なる事業者のサービスを併用することでデータ保護の冗長性を確保し、サービスのダウンタイムリスクが低減します。また、万一サービスが停止した場合も影響を最小限に抑えることができます。

まとめ

クラウドストレージを使用したデータバックアップは、企業や個人にとって重要なデータを保護するための強力なツールです。適切なサービスの選択、セキュリティ対策の実施、データ転送速度の考慮、ランサムウェア対策、これらを実施することにより、データの安全性を高めることができます。自社に合ったサービスを選んで、貴重なデータを適切に管理しましょう。

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By Daisuke Nakamura
Sr. Manager, Sales, Wasabi Technologies (Japan)