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メインディッシュを引き立てる名脇役を目指す、Wasabi Hot Cloud Storage

メインディッシュを引き立てる名脇役を目指す、Wasabi Hot Cloud Storage

Aki Wakimoto
By Aki Wakimoto
Wasabi Technologies Japan 取締役社長

2024年1月25日

明けましておめでとうございます。

2023年を振り返って

国内では、地方や中小企業においても、オンプレ環境からクラウドへの検討・移行が進んだ年でした。また、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃の脅威が増加し、企業にとってはその対策が、より一層求められる「守りの年」となりました。グローバルでは、スポーツからニュース、映画、アニメなど幅広い分野の映像コンテンツの制作・編集の分野において、お客様から、低価格かつセキュアなクラウド ストレージ ソリューションへのニーズの高まりが見られました。

それらを踏まえ日本では、2021年の日本法人設立当初より掲げているパートナー戦略に一層力を入れ、Wasabiのストレージサービスを組み合わせた様々なソリューションの提供を推進してきました。

特に、ランサムウェアのような脅威対策としてのバックアップ戦略に当社ソリューションを組み込むことを提案した結果、多くの企業から当社のイミュータブル(不変的)でセキュアなストレージに対する高い評価と信頼を得ることができ、多くの新たなパートナー企業様との契約にも至りました。また、NTTコミュニケーションズ様とは、これまでのパートナー契約をさらに5年間延長いただけることになったことも、当社に対する信頼の表れであると感じています。

日本における業績は堅調に伸長しており、現在では70社を超える戦略パートナー様と共に、日本の企業・個人の皆様の効率的なデータ活用を支援させていただいていることを、嬉しく思います。

2024年に予測される業界トレンド

2024年は、更なるAIの進化によって、お客様からの期待値や企業のビジネスモデルが大きく変化を遂げていく「攻めの年」になるのではと予測しています。その過程においてキーワードになるのが「データの利活用」であり、その土台となるのが、データを保存するストレージの性能とセキュリティの担保、コストです。

特に、AIはその性質上、正確なインサイトを得るために大規模なデータを必要とするため、必然的に生成・保存が必要なデータ量が増えることになります。つまり企業は、データをより効率的かつ費用対効果に優れた形でどのように活用するかという、ストレージ・ソリューション戦略を再考する必要性に迫られます。この点で、WasabiのようにAPIの利用や下り転送に料金がかからず、ストレージ関連の費用があらかじめ予測可能であるソリューションは、戦略再考にあたって重要な価値を持つことになるでしょう。

最終的に、データがクラウドに適切に保存されることによって、企業はAIを特定の技術ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできるようになり、需要に応じてクラウドストレージ容量の自動調整や、さまざまな企業活動におけるAIのカスタマイズと実装を、簡素化することができるようになるでしょう。

グローバル

これらを踏まえ、グローバルで予測される主なトレンドは、主に以下の3つです。

  1. クラウドの民主化
    ハイパースケーラのような百貨店タイプのワンストップソリューションではなく、最善の専門業者のソリューションを組み合わせたハイブリッドおよびマルチクラウド・ソリューションを、一層求めるようになるでしょう。
  2. 専有データの重要性
    創薬、画像診断、患者の転帰(治療成績)などにおいて、各企業が専有するデータの重要性がより高まります。それに伴い、利便性が良く低価格なクラウドストレージの重要性・利便性は一層高まるでしょう。
  3. スポーツ、メディア、エンタメ分野におけるアーカイブ
    魅力的なコンテンツをより迅速に制作するためには、クリエーターが最適なコラボレーション環境で作業できることが重要です。企業は、制作したコンテンツの最適な保存方法を模索しています。制作されたコンテンツは現在、主にテープやオンプレのNASなどに保存されています。ハードウェアの寿命に伴うデータ移行などを考慮し、企業はコンテンツ制作や利活用の場面で、データクラウド移行による効率性や利便性を理解し始めています。

日本

日本では、以下のようなトレンドを予測しています。

  1. 脅威対策としてのクラウド活用
    2024年も引き続き、ランサムウェアなどの脅威への対策が求められるでしょう。データ保護という点でクラウドは、迅速に導入・活用できるだけでなく、セキュリティにも優れています。例えばWasabiのストレージは、イミュータブル(不変的)な形でデータを保存できるため、仮にランサムウェアに攻撃された場合でもデータを保護することが可能です。大切な情報を守る砦として、クラウドへの信頼性は、ますます高まっていくことでしょう。
  2. 監視カメラを使ったIoTソリューション
    これまで、主に防犯目的で使われていた監視カメラですが、製造や農業分野におけるIoTソリューションの一部として、製造現場の見える化や農作物の成長管理などにも、幅広く使われるようになってきました。全体として、必要とされる動画データの保持期間の伸長や高解像度データに対するニーズ、さらにはAIを使ったデータ解析のニーズが高まっています。データの集積・共有に、クラウドが選ばれる場面が増えていくことでしょう。
  3. クラウドでのコンテンツ共同編集
    グローバル同様に日本でも、メディア、エンターテインメント分野でのクラウド活用の広がりが期待されます。コロナ禍では、制作・編集といった業務をリモートで行わざるを得ませんでしたが、その結果として、クラウド活用による業務の効率化や利便性が認識されるようになりました。今後は、クラウド活用を前提に、共同編集作業をよりスムーズに行えるソリューションへのニーズが高まるでしょう。

上記3点を踏まえ、増加するデータストレージの管理は、すべての組織が直面する課題です。日本企業では、拠点や部署・部門にまたがるファイルを、自由に受け取ってストアしたいという需要が高まりを見せています。

Wasabiのクラウドストレージを利用するためのNASヘッドを付け加えた「Wasabi Cloud NAS」は、各組織の現在のオペレーションを維持し、既存ファイルの配置も変更することなく、オンプレミスのクラウドストレージが提供するストレージ機能を利用できるため、企業・組織のITスタッフと予算の負担軽減に役立てていただけると思います。

2024年、Wasabi Japanが目指すこと

2024年、Wasabi Japanはワサビがお寿司には欠かせない薬味であるように、Wasabiがクラウドストレージ分野における「名脇役」として必要不可欠な役割を果たすことの認知を、より一層高めていくことに取り組みます。

企業・組織におけるバックアップ目的、またメディア業界でのクラウド利用は徐々に定着し始めてきています。2024年は、対象とする業種・業態をさらに広げ、パートナー企業様と一緒になって、ユースケースの横展開と新たなユースケースの開発に取り組みます。また、Snowflake社との連携を強化し、Snowflakeのデータレイクにおいて一層Wasabiを活用できるよう、さらなる取り組みを進めていく他、他社クラウドサービスからWasabiへのデータ移行のニーズも踏まえ、お客様の事情に合わせたソリューションを提案していきます。

Wasabiは、日本、そして世界中のお客様のビジネスや暮らしを更に豊かにできるよう、今後とも貢献してまいります。本年も皆様の一層のご指導・ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

本記事は「マイナビニュースTECH+」に寄稿させていただいた2024年頭所感を転載したものです。

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By Aki Wakimoto
Wasabi Technologies Japan 取締役社長