EDUCATION
EDUCAUSE 2025:つながり、信頼、そして高等教育ITにおけるストレージの役割
今年のEDUCAUSEカンファレンスでは、あるテーマが何よりも際立っていました。それは「つながり」です。データと意思決定、テクノロジーと信頼、そして人と目的の間のつながりです。EDUCAUSEでは毎年、専門家とメンバーによるパネルが投票を行い、高等教育機関が直面するテクノロジー関連の課題をまとめた年次「Top 10」を選出します。
先月ナッシュビルで発表されたEDUCAUSE Top 10は、大学に対してテクノロジーへの取り組み方を見直すよう促すものでした。同非営利団体の会長兼CEOであるジョン・オブライエン氏は、人と人とのつながりこそがデジタルの接続性とイノベーションを支える接着剤であり、テクノロジーを人々にとってより役立つものにするという共通の目的のもとで、部門やコミュニティを越えてチームを一つにまとめると強調しました。
これは決して小さな課題ではありません。各教育機関は、縮小する予算、高まる社会からの不信、そして急速に進展する人工知能(AI)の波に対応しており、それが既存のITインフラに負荷をかけています。
つながりのある機関を築くとは、サイロを取り払うことを意味します。キャンパスがリソース、データ、専門知識をつなげると、本当に重要なことについての共通理解が生まれます。その足並みがそろわなければ、意思決定はより難しくなり、時には不可能にもなります。分断されたシステムや相反する優先事項は、機関が一体となって前進することを困難にします。
データのサイロ化を解消し、ガバナンスを共有する取り組みは、ストレージから始まります。ストレージは、研究や業務からサイバーセキュリティ、学生エンゲージメントに至るまで、キャンパスのあらゆる機能をつなぐ層です。ここでは、より強固なストレージ基盤が、大学のAI導入の準備、クラウドコストの透明化、部門を越えたデータの統合、そしてセキュリティを犠牲にしないコラボレーションの促進にどう役立つかを見ていきます。
データアクセシビリティ:AI活用の土台
AIは、教員と学生の双方に対して、講座の設計や受講においてほぼ無限の選択肢をもたらします。教室の外でも、ITチームはAIを活用し、より高度なビジネス分析によって業務を強化できます。しかし、こうした進歩は単独では起こりません。いずれも、データが部門や学問分野を越えてどれだけ効果的につながっているかにかかっています。
大学の環境にAIを安全に組み込む準備を進めるには、戦略、ガバナンス、テクノロジー、人材、そして教室環境が一体となる必要があります。各機関には、明確なガバナンスポリシー、安全なインフラ、そして実験や研究を支えるデータセットへの容易なアクセスが求められます。
あらゆるAIプロジェクトは膨大なデータを燃料としており、その準備はストレージから始まります。データの保存・準備・アクセスが容易であれば、チームはインフラではなくイノベーションに集中できます。適切なストレージソリューションは、研究の拡大に合わせてスケールし、ニーズの変化にも柔軟に対応し、大学が何年にもわたって信頼できる予測可能な価格を提供します。
透明性のあるクラウドコストが足並みをそろえる
大学は、入学者数の減少、連邦政府による資金削減、そして現政権下の政策変更による広範な経済的影響により、深刻な財政の不安定さに直面しています。
かつて大学は、資金の減少に対して授業料の引き上げで対応してきました。しかし全米教育統計センター(NCES)によれば、2010年から2021年にかけて大学の入学者数は15%減少しました。コストは限界点に達しており、大学はもはや授業料の値上げでその差を埋めることに頼れなくなっています。
支出する一ドル一ドルがその価値を証明しなければならず、それはクラウドでのデータ管理も例外ではありません。クラウドオブジェクトストレージの利用状況と利用予定について1,500人のIT意思決定者を対象に行った独立調査「2025 Cloud Storage Index」では、教育機関の76%がパブリッククラウドの予算を超過しており、その超過分の50%が各種料金に直接充てられていることが分かりました。
基本的なデータのアクセスや取り出しに大きな金銭的ペナルティが伴う場合、経営層はデジタルプロジェクトの承認をやめてしまいます。一方、ストレージコストが一定に保たれていれば、部門を越えて自信を持ってプロジェクトを計画できます。財務部門は正確に予測でき、調達はより迅速に進み、ITは研究・教育・管理の各チームを、見えない財務リスクなしにデータアクセスの共有へと招くことができます。
集中型ストレージ環境でデータをつなぐ
データをつなぐことは、単なるITの目標ではなく、機関としての信頼の出発点です。研究、施設、セキュリティ、管理部門は、しばしば別々のシステムで動いています。分断されたデータ管理は、拡大し続ける新しいテクノロジーの導入に適応するためにインフラを近代化する機関の力を弱めます。各学部は貴重な情報を集めていても、機関全体を一元的に見渡す視点を欠いています。
私はビジネスの世界で30年のキャリアを積み、多くの大手銀行と仕事をしてきました。こうした企業は成長して数多くの成功した部門を抱えるようになると、物事がかなりサイロ化していく傾向があります。クレジットカード部門はその情報を、住宅ローン部門は別の情報を、プライベートバンク部門はまた別の情報を持っていて、誰も共有せず、その結果、顧客を統一的な視点で見ることができなくなります。大学に来れば、このような現象はもっと少ないだろうと思っていましたが、実際には大学でもかなりよくある課題だと分かりました。
ジョン・ルッツ、ヴァンダービルト大学 開発・同窓会担当副学長(EDUCAUSE Top 10レポート)
集中型のマルチテナントクラウドアーキテクチャは、そのギャップを埋めるのに役立ちます。Wasabi Account Control Manager(WACM)のようなツールは、各部門が自分たちのデータ環境を管理できるようにしながら、ITチームが単一のプラットフォームから機関全体のストレージを統括することを可能にします。キャンパス内のさまざまなチームや役割の担当者が、より効果的にデータを保存・アクセスできます。
このようなアーキテクチャは、可視性を高めるだけでなく、共有データを複数のチームが同時に活用できるリソースへと変えます。それは、映像データが最適化のエンジンになりつつあるキャンパスの監視といった領域で現れています。ITチームは、駐車場の流れや廃棄物管理などの改善を目指す運用チームのために、映像バケットをレプリケーションできます。
コラボレーションはキャンパスの壁を越える
つながりは、キャンパスのネットワーク内で完結するものではありません。それは、単独のプロバイダーだけでは解決できない課題に対して、大学とそのテクノロジーパートナーがどのように協力するかにもかかっています。データ管理、セキュリティ、分析、アクセシビリティはすべて交わり合い、いずれも成功にはオープンなコラボレーションが欠かせません。
シームレスなS3互換性により、Wasabiは、バックアップとリカバリのツール、監視・ビデオ管理システム(VMS)から、デジタルライブラリやAIワークロードを支える研究・アクティブアーカイブのプラットフォームまで、教育現場に対応した数百のプラットフォームと統合できます。
これらのテクノロジーが共通のストレージ層を通じてつながると、機関はベンダーロックインなしに、エンドツーエンドの可視性と信頼性を得られます。信頼できるパートナーシップを通じて専用に設計されたツールを組み合わせることで、大学は複数の課題を同時に解決できます。
アクティブアーカイブで研究を支える
高等教育におけるつながりとは、システム同士が連携することだけを指すのではありません。機関を特徴づける知を保存し、共有することでもあります。デジタルアーカイブは、リソースへのアクセスと共有のあり方を一変させ、研究者や学生が世界中のどこからでも、膨大な一次資料・二次資料に手元でアクセスできるようにしました。
しかし従来のアーカイブは、日常的な利用ではなく長期保存のために設計されていました。多くの大学は今なおハイパースケーラーのインテリジェント階層化に頼り、膨大な研究データを、取り出しに費用と時間がかかるコールド階層に保存しています。当社のeBook「Cloud Econ 101:高等教育の予算を圧迫するクラウドストレージ料金を読み解く」では、教育機関の91%がGlacierなどのコールド階層から少なくとも月に一度はデータにアクセスしていることを示し、「めったにアクセスされない」はずのデータが実際にはそうではないことを明らかにしています。
今日の研究には、ストレージ層から始まる、アーカイブへの能動的なアプローチが求められます。マルチテナントクラウドアーキテクチャを構築する集中型ストレージ環境は、各部門に自分たちのデータに対する自律性を残しつつ、ITチームが単一のプラットフォームから大学全体のストレージを統括することを可能にします。
Wasabi Account Control Managerは、利用者が何をしているかについて、より高い可視性を私たちに与えてくれます。セキュリティに役立つだけでなく、予算や、オンサイト・クラウドのリソースの計画にも役立っています。
デイビッド・ビアズリー、コーネル大学 シニアストレージアーキテクト
コーネル大学のような大学は、WACMを活用して複数部門にまたがる可視性を集約し、現場のコントロールを損なうことなくデータ管理を統一しています。このプラットフォームを使えば、OneDriveに1ペタバイトもの貴重な研究データを抱えているような教授のために簡単にストレージを立ち上げられ、シャドーIT(許可されていない個人的なストレージ利用)がキャンパスのインフラに入り込む数多くの経路の一つを解消できます。
ロールベースの識別でMFAをさらに強化する
今年のEDUCAUSE Top 10ではセキュリティが第1位となり、デジタルの信頼がいまやキャンパス全体で共有すべき責任であることが浮き彫りになりました。
多要素認証(MFA)は依然として不可欠な防御策ですが、環境がより統合され、アクセスしやすくなるにつれて、MFAは唯一の防御ではなく「第一の」防御線であるべきです。認証情報が一つ侵害されるだけで、誤削除、研究データの破損、あるいは貴重な学生記録がサイバー攻撃と身代金要求によって人質に取られる事態につながりかねません。
ロールベースの識別は、個人に権限を与えると同時に、データ管理におけるサイバーセキュリティ戦略にコミュニティを巻き込みます。マルチユーザー認証(MUA)では、バックアップの削除、保持ポリシーの変更、オブジェクトロックのようなイミュータブル(不変)オプションの無効化といった重要な操作を承認するために、2人以上の認可されたユーザーを必要とします。
イミュータブルストレージと予測可能な価格と組み合わせることで、MUAは、大学がデータを保護するために必要な技術面・運用面のレジリエンスと、キャンパスのあらゆる場所で安全につながりを築き続けるための自信をもたらします。
つながりの未来を保存する
EDUCAUSEの2026 Top 10は、テクノロジーだけでは変革は起きないことを大学に改めて気づかせました。あらゆるデジタルの取り組みを一つにまとめるのは、人と人とのつながりであり、それが信頼と目的の共有のもとでデータ、システム、コミュニティを結びつけます。
ストレージは舞台裏で静かに存在しているかもしれませんが、そうしたつながりを可能にする基盤です。ストレージが予測可能で、アクセスしやすく、安全であれば、大学はより効率的に動けます。研究者は発見や助成金の獲得に集中でき、ITは予算を正確に見通しながらイノベーションを起こせ、経営層はアクセス可能なデータが手の届くところにあると分かったうえで投資できます。
高等教育における次のイノベーションの時代は、システム、部門、そしてそれらを使う人々の間のつながりから生まれます。データがキャンパス全体を自由に、そして予測可能なかたちで行き来するようになれば、大学は問題の解決に費やす時間を減らし、学び、発見、そして地域社会への貢献を前進させることにより多くの時間を使えるようになります。
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