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アーカイブとバックアップを使いこなす!データ保存の長期戦略

2024 October 3By Mayuko Yoshitome

前回は、企業にとって重要なデータ保護の選択肢として「レプリケーション」と「バックアップ」の違いを解説しました。どちらもデータ損失から企業を守るための有効な手段ですが、今回は、より長期的な視点でデータ活用を考える際に重要な「アーカイブ」に焦点を当てます。

ビジネスの成長や法令遵守の観点からも、データの長期保存は企業にとって重要な課題です。今回は、「アーカイブ」と「バックアップ」の違いを明確化し、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、目的に最適なデータ保存の長期戦略について考えていきましょう。

アーカイブとは?目的とメリット・デメリット

アーカイブとは、アクセス頻度の低いデータを別のストレージに移行することです。従来はテープ媒体などにデータを保存することが一般的でしたが、近年では、低コストで拡張性の高いクラウドストレージを活用するケースも増えています。

アーカイブ利用の主な目的

まずは、アーカイブを利用する主な目的について見てみましょう。

  • 長期的なデータ保管

過去の売上データや顧客情報、設計図面など、企業活動で生み出されるデータの中には、すぐに必要ではないものの、長期的な視点で見た時に、分析や活用に役立つ可能性があるものが数多く存在します。アーカイブは、このようなデータを安全かつ効率的に保管しておくための有効な手段です。

  • コンプライアンス遵守

企業には、個人情報保護法や会計法などさまざまな法令に基づき、データを一定期間適切に保管することが義務付けられています。アーカイブは、法令で定められた期間、データを安全に保管することで、コンプライアンス違反のリスクを低減する手段のひとつです。

アーカイブのメリット・デメリット

アーカイブでは、アクセス頻度の低いデータを低コストなストレージに移動させることで、データ保管にかかるコストを大幅に削減できます。特にクラウドストレージを活用するケースでは、必要な容量に応じて柔軟にコストを調整できるため、コスト効率の高い運用が可能です。

一方、アーカイブはアクセス頻度が低いデータの保管を目的としているため、通常のストレージと比べてデータへのアクセス速度が遅くなります。そのため、頻繁に参照する必要のあるデータには適していません。

アーカイブとバックアップの比較

前回の記事で解説した「バックアップ」と、今回紹介している「アーカイブ」は、どちらもデータ保護の手段として混同されがちです。ただし両者は利用の目的や保存期間の点で異なります。

アーカイブ:長期保存、コンプライアンス

アーカイブは長期的な保存を目的としており、保存されたデータは分析用途や法令遵守のための証拠資料として活用されます。

具体的な用途としては、過去の売上データ分析による経営戦略の見直し、顧客動向の長期分析によるマーケティング施策への活用、訴訟や調査発生時の証拠提出などが挙げられるでしょう。

アーカイブデータはすぐにアクセスする必要性が低いため、低コストなストレージに保管されることが多く、保存期間も数か月、数年、または法令で定められた期間など、長期に渡るケースが一般的です。

バックアップ:短期保存、データ復旧

一方、バックアップは、システム障害やヒューマンエラー、災害発生時など、元のデータが消失した場合の復旧を目的としています。

バックアップでは、障害発生前の状態にシステムを復旧させるために定期的にデータのスナップショットを取得し、迅速に復旧できるような体制を整えることが重要です。

そのためアクセス速度が重視され、保存期間も数日~数週間程度と比較的短期でです。

法規制への対応とデータ管理のコスト削減

データ保存を行う上で、法規制への対応は避けて通れません。特に近年は個人情報保護に関する法規制が強化されており、企業には適切なデータ管理が求められています。

個人情報保護法への対応

個人情報保護法では、個人情報の利用目的の明示や、取得した個人情報の適切な管理、第三者への提供制限などが定められています。

企業はこれらの法令を遵守するために、個人情報の利用目的を明確にした上で、適切な方法でデータを保管し、不要になったデータは速やかに削除または廃棄する必要があります。アーカイブは、個人情報を含むデータを法令に則り適切な期間、安全に保管する手段として有効です。

ストレージ容量の最適化

日々増え続けるデータはストレージ容量を圧迫し、コスト増加の要因となります。アーカイブではアクセス頻度の低いデータを低コストなストレージに移行することで、高価なストレージ容量を有効活用できます。

コスト削減効果も期待

アーカイブを活用することで、高価なストレージ容量の圧縮によるコスト削減、運用管理の効率化によるコスト削減など、さまざまな効果が期待できます。

特に従量課金制のクラウドストレージサービスを活用すれば、無駄なコストを抑えながら、柔軟かつ拡張性の高いデータ保存環境を構築できるでしょう。

まとめ

今回は、データ保存の長期戦略として「アーカイブ」について解説しました。

アーカイブはバックアップと異なり、長期的なデータ保管と活用、そしてコンプライアンス遵守を目的としています。アクセス頻度の低いデータを低コストなストレージに移動することで、効率的かつ安全なデータ管理体制を構築できます。

近年、企業におけるデータ活用はますます重要性を増しており、長期的な視点に立ったデータ保存戦略が求められています。アーカイブを活用することで、過去のデータ分析による新たなビジネスチャンスの創出や、法令遵守による企業の信頼性向上など、さまざまなメリットを享受できる可能性があります。

自社のビジネスニーズやデータの特性を考慮し、アーカイブを有効活用することで、データの価値を最大限に引き出し、企業の成長に繋げていきましょう。

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