ジェネラル

オンプレミスNASとCloud NASの比較:長期ストレージコストの最適化

2025 September 26

増え続けるデータ量と長期にわたるデータ保持要件のバランスを決められた予算内でうまく保つことは、多くの組織が直面している課題の1つです。これに対して、IT予算を圧迫せずにデータアーカイブの寿命を延ばし、年間数百万ドルを節約できる優れたソリューションが、クラウドストレージの統合です。

ハイブリッド環境において、オンプレミスのネットワーク接続ストレージ(NAS)からCloud NASにアーカイブデータを移動すると、長期的にコスト効率の高いデータ管理戦略を実現できると同時に、予想外の出費を抑え、コストを最適化することができます。

組織独自の要件に合わせたインフラの適応化

それぞれの組織ごと、さらには同じ組織内でも異なる部門ごとに、保存されたデータの用途は大きく異なります。例えば、マーケティングチームはトレンド分析のために過去の顧客データを使用する一方で、開発者はログへの拡張アクセスを必要としており、製品チームは膨大なデータセットをもとにAIワークロードを実験しています。さらに、医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPPA)、一般データ保護規則(GDPRおよびEUGDPR)、SEC規則17a-4(金融サービスの電子記録管理に関する米国証券取引委員会規則)など、様々な業界を対象とする特定のデータ保持期間とアクセス要件を義務付ける規制も存在します。 

オンプレミスストレージの場合、容量の制限、コストの高さ、長期にわたる複雑なアーカイブ管理などが伴うため、これらの要件をすべて満たすのは困難です。結果として、ストレージ管理者は、複数の階層管理とデータ保持ポリシーの開発に追われることになり、ストレージインフラ自体に対処する余裕がなくなります。

一方、ハイブリッドストレージモデルを使用すると、オンプレミスのインフラをクラウドベースのオブジェクトストレージで拡張することができ、以下のようなメリットにつながります。

  • 保持要件への適合

  • データ管理の簡素化

  • コスト削減とIT予算の合理化

Wasabi Cloud NASでは、非アクティブなデータはオンプレミスのデバイスからクラウドに移行されます。これにより、アクセス頻度の低いデータ用に低コストかつ可用性の高いランディングゾーンを作成することができます。高価で高性能なNASシステムからコールドデータをオフロードすることで、保持要件を遵守する状態を保ちながら、アクティブなワークロード用のローカル容量が確保されます。

長期データ保存には高価すぎるオンプレミスNAS 

  • テラバイトあたりのコストが高い-NASデバイスは、コスト効率の高いコールドストレージ向けではなく、パフォーマンスと高速アクセスを目的として設計されています。そのため、オンプレミスの容量が1テラバイト増えるごとに、大規模なハードウェア、電力、冷却、物理的なスペースの要件、メンテナンスとサポートなど、多大な費用が発生します。

  • 非アクティブなデータのパフォーマンスが無駄になる-長期(コールド)データを保存した場合、ほとんどアクセスしないにもかかわらず、頻繁な入出力と重要なワークロード用に設計された高性能ストレージのスペースを占有することになります。

  • スケーラビリティの課題-データ量の増加は予測できません。オンプレミスNASの拡張は、手間がかかるうえにコストがかさみます。多くの場合において、新しいハードウェアが必要になり、インストール時にダウンタイムが発生するほか、構成がより複雑になります。

  • 管理費-老朽化したハードウェア、バックアップ、レプリケーション、保持ポリシーなどにまたがるデータの管理には、継続的な人件費がかかります。また、信頼できるサードパーティのクラウドプロバイダーにストレージハードウェアをオフロードする作業だけでも、ストレージ管理者が時間を費やして詳細な作業を行う必要があります。

  • 冗長性と耐久性の限界-オンプレミスのNASシステムは通常、ローカルのRAID(Redundant Array of Independent Disks)またはシステム全体のバックアップに依存しています。一方、クラウドオブジェクトストレージは、本質的に高い耐久性(99.999999999%)と、地理的に異なる地域にまたがる冗長性を提供します。

  • ベンダーロックイン-異なるNASシステム間でデータを移動させると、労力がかかり、エラーが発生しやすく、混乱を招きます。そのためこの作業は、ほとんどの組織では、一定の投資額を超えると事実上不可能と見なされます。

一方、非アクティブなデータをNASシステムからクラウドにオフロードするハイブリッドアプローチの方がはるかに持続可能です。

ハイブリッドストレージで要件に対応したデータ保存を簡素化

ハイブリッドストレージにはオンプレミスインフラの強みが組み合わさっており、クラウドの拡張性と経済性を兼ね備えています。このアーキテクチャを使うことで、アクティブなワークロードには既存のNASまたはファイルサーバーを引き続き使用しながら、アクセス頻度の低いデータをクラウドオブジェクトストレージに階層化することができます。

これにより、ホットストレージとコールドストレージの中間に位置するデータリポジトリである「アクティブアーカイブ」が作成されます。このデータはホットストレージほど頻繁にアクセスされないため、レイテンシを最低限に抑える必要はありませんが、いつでもすぐに呼び出すことができます。

オンプレミスとオブジェクトストレージ間の移行は、ポリシーベースのルールを適用したソフトウェアで管理され、ファイルの保存期間、使用パターン、種類、ビジネス固有の基準に基づいて自動的に行われます。この構成によってプライマリストレージへの負担が軽減され、手動による介入がなくても長期的なデータの保持と管理が簡素化されます。

AWS、Azure、GCSなどのハイパースケーラーは、テラバイトあたりのコストが非常に低い長期ストレージ用のアーカイブ層を提供しています。ただし、これらのサービスには、高額な下り転送料、APIリクエスト料、早期削除に対するペナルティなど、隠れたコストがかかることがよくあります。こういった料金は、時間の経過とともに総所有コスト(TCO)を大幅に増加させる原因にもなります。WasabiのTCO eBookでは、元は低価格設定のサービスであったとしても、これらの追加費用によって、データを長期保存する際の予算計画が複雑になることを詳しく説明しています。

「手数料なし」が収益に与える影響

Wasabiは、根本的に異なるアプローチでクラウドストレージの価格およびパフォーマンスを実現し、アーカイブワークロードに最適なソリューションを提供します。従来のクラウドプロバイダーとは異なり、Wasabiでは下り転送料やAPIリクエスト料が不要です。そのため、予期せぬコストに悩まされることなくデータにアクセスし、管理することが可能になります。また、Wasabiのソリューションは高可用性と強力な耐久性を兼ね備え、特にオンプレミスで増大するデータ量を管理している現代企業のニーズに応えます。

さらに、Wasabiのセキュリティもユーザーから高く評価されています。Wasabiのアーカイブデータは、イミュータブルバケット、ロールベースのアクセス制御、厳格な安全認証などによって、不正な変更やランサムウェアの脅威から保護されます。さらに、Wasabi Cloud NASは、既存のファイルシステムと統合しながらの簡単に導入できるため、データをシームレスに階層化したい組織に最適のソリューションです。Wasabiでは、ファイルを自動的に識別し、クラウドに階層化しながら、いつでもアクセスできる状態でメタデータをローカルに保持します。そのため、ユーザーはコストをかけることなく、ローカルストレージのような感覚でクラウドを利用できます。 

Wasabi Cloud NASのスマートな階層化で、コンプライアンス遵守からコスト管理までを実現 

長期的なデータ保持のために、パフォーマンス、コスト、コンプライアンスを犠牲にする必要はありません。Wasabi Cloud NASを使用すると、ハイブリッドストレージを簡素化し、コストを削減しながら、アーカイブデータへ簡単にアクセスできるようになります。また、古いファイルのオフロード、データ保持ポリシーへの対応、拡張性の高いストレージアーキテクチャの構築など、将来に向けたスムーズな移行がWasabi Cloud NASで実現されます。

 

Cloud NASアクティブアーカイブ ホワイトペーパー

コスト削減とデータアクセスの改善を実現する、Wasabi Cloud NASの詳細をぜひご確認ください。

今すぐ読む(英語)

よくある質問

  • データ保持義務との整合性が高い

  • シンプルなデータ管理を実現

  • コスト削減とIT予算の合理化

  • テラバイトあたりのコストが高い

  • 非アクティブなデータが無駄なパフォーマンスを引き起こす可能性

  • 拡張性に制限がある

  • 管理費が高い

  • 冗長性と耐久性が限られている

  • ベンダーロックイン

A group of people work at computer stations in a modern office with cameras and lighting equipment, focusing on digital content creation.
ジェネラル映像制作のデータ管理を効率化するには?実践的な手法を紹介

Wasabiのイミュータブル機能はなぜ無料なのか?