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データ活用を加速させる「構造化データ」と「非構造化データ」とは?
企業にとって、データは宝の山と言えます。競争優位性を築き、顧客体験を向上させるためには、データに基づいた意思決定が不可欠です。
一方で、データ活用を成功させるためには、まず「どのような種類のデータが存在するのか」を理解しなければなりません。データには大きく分けて「構造化データ」と「非構造化データ」がありますが、それぞれの特徴や活用方法は大きく異なります。
本記事では構造化データと非構造化データの違いを分かりやすく解説し、両者を統合的に管理できる「データレイク」の概念やメリットを解説。データレイク構築に最適なクラウドストレージの選び方も紹介していきます。
構造化データと非構造化データの基本
企業活動の中で日々生成されるデータは、大きく「構造化データ」と「非構造化データ」の2つに分類されます。これらはそれぞれ異なる特性を持つため、目的に応じた使い分けが必要です。
構造化データの特長
構造化データとは、データベースで管理しやすいよう、あらかじめ定義された形式に従って整理されたデータのことです。たとえば、顧客情報(氏名、住所、電話番号など)や売上データなどが挙げられます。これらは、主にRDB(リレーショナルデータベース)などのデータベースで管理されます。
構造化データの特徴は以下の通りです。
データ検索や整理が容易
データが構造化されているため、特定の情報に素早くアクセスし、分析を行うことが容易になります。
一貫性とスケーラビリティの強み
データの形式が統一されているため、データの整合性を保ちやすく、データ量の増加にも柔軟に対応できます。
非構造化データの特長
非構造化データは、定義された構造を持たないデータのことです。テキストデータや画像データ、動画データなど、私たちが普段目にする情報の大部分が非構造化データに該当します。近年では企業が扱うデータ量の増加とAI技術の進化に伴い、非構造化データの活用が注目されています。
非構造化データの特徴は以下の通りです。
テキスト、画像、動画、音声など多様なデータ形式
顧客の行動履歴や市場トレンドなど、従来の構造化データだけでは得られなかった洞察を得ることが期待できます。
データの柔軟な保存と利用が可能
データ形式が自由であるため、さまざまな用途に合わせた柔軟なデータ保存と活用が可能です。
AIや機械学習での活用
自然言語処理や画像認識などの技術により、非構造化データからビジネス価値を創出できる可能性が広がっています。
構造化・非構造化データをまとめて保存するデータレイク
企業では、これまでデータの種類ごとに異なるシステムで管理を行うのが一般的でした。しかし近年、構造化データと非構造化データを統合的に管理できる「データレイク」が注目されています。
データレイクとは、あらゆる種類のデータを一箇所に集約した巨大なデータストレージ を指します。構造化データ、非構造化データを問わず、データレイクにはさまざまなソースからのデータを、そのままの形式で保存することが可能です。蓄積されたデータは用途に合わせて自由に抽出・加工・分析することができるため、ビジネスにおけるデータ活用を促進する強力な基盤となります。
データレイクの利点
データレイクは、以下のような利点から、多くの企業で導入が進んでいます。
大容量データの効率的な管理
データの種類ごとにサイロ化することなく、一元的にデータを管理することで、ストレージコストの削減やデータの一貫性確保に繋がります。
非構造化データの検索・処理の柔軟性
従来のデータベースでは扱いが難しかった非構造化データを容易に保存・検索・分析することが可能になります。
データレイクの課題
一方で、データレイクの導入にはいくつかの課題も存在します。
取り扱いの複雑さ
さまざまなデータ形式に対応する必要があるため、データ管理の仕組みが複雑になりがちです。
コスト
大規模なデータレイクを構築・運用するには、相応のコストがかかります。
これらの課題を解決するため、近年ではクラウドサービスを活用したデータレイク構築が増加しています。クラウドサービスを効果的に活用することで、低コストで柔軟かつ安全なデータレイク環境を構築することが可能です。
構造化・非構造化データの管理に最適なクラウドストレージの選び方
データレイクを構築するうえで、クラウドストレージの活用が有効であることは間違いありません。しかし一口にクラウドストレージと言ってもさまざまなサービスが存在し、それぞれ特徴が異なります。最適なサービスを選ぶためには、自社のビジネスニーズに合ったストレージ選びが重要です。
クラウドストレージを選ぶ際は、特に以下の点に注目すると良いでしょう。
ストレージの種類
オブジェクトストレージ、ファイルストレージ、ブロックストレージなど、用途に合わせて適切な種類のストレージを選択する必要があります。データレイクを構築する場合、柔軟性と拡張性に優れたオブジェクトストレージを選ぶのが一般的です。
費用
ストレージ容量やデータ転送量、APIリクエスト数など、クラウドサービスごとに課金体系が異なります。長期的な運用コストを考慮し、自社の利用状況に合った料金プランを選択する必要があります。
拡張性
データ量は時間と共に増え続けるため、将来的なデータ増加にも柔軟に対応できるストレージを選ぶことが重要です。
セキュリティ
機密性の高いデータを取り扱う場合は、セキュリティ対策が強固なサービスを選ぶ必要があります。データの暗号化機能やアクセス制御機能などを確認しましょう。
データ分析機能
データレイクに蓄積したデータを迅速に分析できるよう、分析機能が充実しているサービスを選ぶことも重要です。
これらの基準を踏まえ、複数のクラウドストレージサービスを比較検討し、自社にとって最適なサービスを選び出すことが重要です。
特に近年では、低価格ながらも高機能なサービスが登場しており、データレイク構築のハードルは大きく下がっています。
まとめ
今回の記事では、データ活用を加速させるうえで重要な「構造化データ」と「非構造化データ」の違い、そして両者を統合管理できる「データレイク」について解説しました。
構造化データはデータベースで管理しやすい形式で、売上情報など数値分析に役立ちます。一方、非構造化データはテキストや画像など多様な形式を持ち、顧客行動分析や市場トレンド把握などに活用できます。
これらの異なる性質を持つデータを一元的に保存・管理することで、データ分析の可能性を大きく広げるのがデータレイクです。そしてクラウドストレージは、データレイクをより低コストで柔軟かつ安全に構築することを可能にします。