ジェネラル

SLAとSLOの違いを理解し、自社のビジネスに適切な運用体制を構築する

2024 November 21

今日のビジネスにおいて、顧客満足度はサービスの成功に不可欠な要素です。そこで重要になってくるのが、安定したサービス提供を保証する「サービスレベル」です。

サービスレベルを定義し、管理するにはSLA(Service Level Agreement) と SLO(Service Level Objective) についての知識が欠かせません。

この記事ではSLAとSLOの違いを分かりやすく解説し、それぞれの定義や役割、メリットなどを詳しく説明していきます。

SLAとは何か?

SLAは顧客との信頼関係を構築し、サービス品質を保証するための重要な枠組みです。まずはその内容を見ていきましょう。

SLA(Service Level Agreement)の定義

SLAとは、サービス提供者と顧客の間で締結される、サービスの品質に関する合意書のことです。具体的には、サービスの稼働率、応答時間、解決時間といった項目について具体的な数値目標を定め、その達成レベルを保証します。

SLAは法的拘束力を持つ契約として機能するため、万が一、合意したサービスレベルを満たせなかった場合はペナルティが発生する可能性もあります。

SLAで規定される項目の例

SLAで規定される項目はサービスの性質や顧客のニーズによって異なりますが、代表的なものとして下記が挙げられます。

  • 稼働率

システムやサービスが正常に稼動している時間の割合を示します。たとえば「月間稼働率99.9%」といった形で規定されます。

  • 応答時間

顧客からの問い合わせやリクエストに対して、サービス提供者が対応するまでの時間を指します。一般には「24時間以内に回答」といった形で規定されます。

  • 解決時間

問題発生から解決までに要する時間を指します。特にシステム障害など、顧客に影響が大きい問題の解決時間を規定することが一般的です。

SLA違反時のペナルティ

SLAで規定したサービスレベルを達成できなかった場合、サービス提供者は顧客に対してペナルティを支払う義務が生じることがあります。ペナルティの内容はあらかじめSLAに明記されますが、料金の減額や違約金の支払いなどが一般的です。

SLAを設定するメリット

SLAを設定することで、顧客とサービス提供者の双方に下記のようなメリットが生まれます。

  • 顧客との期待値のすり合わせ

サービスレベルを明確化することで、顧客との認識違いを防ぎ、サービスに対する期待値を一致させることができます。

  • サービス品質の可視化と向上

具体的な数値目標を設定することで、サービス品質を客観的に評価できるようになり、継続的な改善活動を促進することができます。

SLA稼働率についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
SLA稼働率で失敗しないために!計算方法からクラウドストレージの選び方まで徹底解説

SLOとは何か?

SLOは、サービス提供者が目指すべき具体的なサービスレベルを定量的に示します。その内容を見ていきましょう。

SLO(Service Level Objective)の定義

SLOとは、サービス提供者が独自に設定する、サービスレベルの目標値のことです。顧客との契約を意味するSLAとは異なり、SLOはあくまでサービス提供者内部における目標設定であり法的拘束力はありません。

SLOはサービスの安定稼働やパフォーマンス向上を目指し、運用チームが主体となって設定します。

SLOで設定される項目の例

SLOで設定される項目は、サービスの特性や目標とする状態によって異なります。一般的な例として挙げられる項目は、以下の通りです。

  • 可用性

システムやサービスがアクセス可能である時間の割合を示します。高い可用性を目標とすることで、ユーザーに安定したサービスを提供することを目指します。

  • レイテンシ

リクエストに対する応答までの時間を指します。レイテンシを短縮することで、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指します。

  • エラー率

リクエスト全体に対するエラーが発生したリクエストの割合を示します。エラー率を抑制することで、サービスの信頼性向上を目指します。

SLOを設定するメリット

SLOを設定することで、サービス提供者には以下のようなメリットがあります。

  • サービス運用目標の明確化

具体的な数値目標を設定することで、チーム全体で目指すべきサービスレベルを共有することができます。

  • チーム全体での意識統一

共通の目標を持つことで、開発チーム、運用チーム、サポートチームなど、関係部署間で連携が強化されます。

  • 継続的なサービス改善

SLOの達成度合いを定期的に測定し、分析することで、サービス改善の取り組みを継続的に行うことができます。

SLAとSLOの活用方法

SLAとSLOはサービスの品質を管理し、顧客満足度を高めるための重要なツールです。それぞれの特性を理解し、適切に活用することで、より効果的にサービスレベルの向上を目指せます。

SLAの実務的な役割

SLAは、顧客とサービス提供者の間でサービスレベルに関する共通認識を共有するための重要なツールです。具体的には、サービスの提供範囲、責任範囲、およびサービスレベルが満たされなかった場合の対応などが明確にされます。

一例として挙げられるのが「サービスのダウンタイム許容時間」や「それを超えた場合の返金ポリシー」です。これにより、顧客はサービスの信頼性や、問題発生時の対応について事前に把握することができます。

SLOが目標設定や改善に与える影響

SLOは、サービス提供者がサービス品質の向上を図るための目標設定として活用するツールです。具体的には、可用性、レイテンシ、エラー率といった指標について具体的な数値目標を設定し、その達成度合いを定期的にモニタリングします。

たとえばSLOで目標とする可用性を99.99%と設定した場合、システムの設計や運用方法を工夫し、可能な限りダウンタイムを削減する取り組みが必要です。このように、SLOはサービスの継続的な改善を促進するための重要な指標となります。

まとめ

今回の記事では、サービスレベルを定義する上で重要なSLAとSLOについて解説しました。SLAは顧客との契約をベースとしたサービスレベルの保証であり、SLOはサービス提供者が内部的に設定する目標値です。SLAは顧客満足度と信頼性の担保に、SLOはサービス品質の継続的な改善にそれぞれ貢献します。

SLAとSLOを適切に設定・運用することは、顧客との良好な関係を築き、ビジネスを成功に導く上で欠かせません。自社のサービスレベルを見直し、SLAとSLOを効果的に活用することで、更なる顧客満足度の向上を目指しましょう。


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