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クラウドで実現するBCP対策。事業継続性を高めるレプリケーション

2024 July 18By Mayuko Yoshitome

近年、自然災害やサイバー攻撃など、企業の事業継続を脅かすリスクはますます増大しています。そこで注目を集めているのが、クラウドを活用した事業継続計画(BCP)です。本記事ではクラウドBCP対策の基礎知識から導入方法、データ保護に不可欠なレプリケーション機能について解説します。

クラウドを活用したBCP対策とは?

企業の事業継続を脅かすリスクは、自然災害やサイバー攻撃など多岐にわたります。これらのリスクから事業を守るBCP対策は、もはや企業にとって必須の取り組みと言えるでしょう。

BCP対策の重要性

BCP(事業継続計画)とは、災害や事故などの緊急事態が発生した場合でも、中核となる事業を継続または早期復旧するための計画です。BCP対策を適切に行うことで、企業は以下のようなメリットを得られます。

  • 事業の継続性確保:災害発生時でも事業を継続できるため、顧客からの信頼を失わず、競争力を維持できます。

  • 損失の最小化:事前の準備により、災害による損失を最小限に抑えることができます。

  • 企業価値の向上:BCP対策は、企業の危機管理能力を示す指標となり、企業価値の向上に繋がります。

とくに近年では、地震や台風などの自然災害に加え、ランサムウェアや標的型攻撃などのサイバー攻撃も増加しており、BCP対策の重要性はますます高まっています。

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クラウドBCP対策のメリット

従来のBCP対策では、企業は自社でサーバーやデータセンターを保有してバックアップ体制を構築する必要がありました。そうしたBCP対策の在り方を大きく変えたのがクラウド技術の登場です。

クラウドを活用したBCP対策には、従来のオンプレミス環境での対策と比較して以下のようなメリットがあります。

データの冗長性と可用性の向上

クラウドストレージは複数のデータセンターにデータを分散保管して、自動的に複製を作成する機能を備えています。あるデータセンターが災害などで停止した場合でも、他のデータセンターからデータにアクセスできるため、事業継続性を確保できます。

また、データの読み書きを複数のサーバーに分散させることで、特定のサーバーに障害が発生してもシステム全体が停止するリスクを軽減できます。

災害復旧の迅速化

クラウドBCP対策では、システムやデータをクラウド上にバックアップしておくことで、災害発生時でも迅速に復旧できます。クラウドサービスプロバイダーは高度な技術と設備を備えているため、自社で復旧作業を行うよりも短時間でシステムを復旧できる可能性があります。

また、クラウド環境では、システムの構成情報をコードとして管理するIaC(Infrastructure as Code)という手法が利用できます。IaCを活用することでシステムの復旧作業を自動化し、さらに迅速な復旧を実現できます。

コスト効率の改善

クラウドBCP対策は、従来のオンプレミス環境での対策と比較して、コスト効率を大幅に改善できます。多くのクラウドサービスは従量課金制を採用しているため、必要なリソースのみを利用でき、無駄なコストを削減できます。

また、自社でサーバーやデータセンターを保有する必要がないため設備投資や運用コストを削減できますし、クラウドサービスプロバイダーがセキュリティ対策やシステムメンテナンスを行うため、専門人材の確保や教育にかかるコストも削減できます。

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レプリケーション機能によるデータ保護

上で紹介したクラウドBCP対策のうち、とくにデータの冗長性と可用性と深く関係しているのがレプリケーション機能です。

レプリケーション機能とは?

レプリケーション機能とは、ある場所にあるデータを別の場所に複製する技術です。クラウドストレージサービスでは、このレプリケーション機能を活用し、複数のデータセンター間でデータを同期することで、データの冗長性を確保しています。

たとえば、東京のデータセンターに保管されているデータを大阪のデータセンターにも複製することで、東京のデータセンターが災害などで停止した場合でも、大阪のデータセンターからデータにアクセスできます。これにより、事業継続性を確保し、データ損失のリスクを最小限に抑えることが可能です。

レプリケーション機能の具体例
〜オンプレとWasabi間のレプリケーション〜

Wasabiは、既存のオンプレ環境とWasabi間でデータレプリケーションを行うことができます。データを複数環境で保存しておきたい場合や、オンプレ環境の契約が残っていて一気にクラウド移行するよりも徐々にクラウド移行していきたい場合などにもご利用いただけます。

レプリケーション機能の具体例
〜Wasabiの東京リージョンと大阪リージョン間のレプリケーション〜

Wasabiは、東京リージョンと大阪リージョンという2つのリージョン(データセンターの集合体)を提供しており、これらのリージョン間でデータレプリケーションを行うことができます。

低遅延、高可用性、堅牢なセキュリティを兼ね備えたWasabiのレプリケーション機能により、企業はより強固なBCP対策を行うことができます。

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クラウドBCP対策に向けたベンダー選択のポイント

クラウドBCP対策を成功させるためには、適切なクラウドベンダーを選定することが重要です。以下のポイントを参考に、自社に最適なベンダーを選びましょう。

  • サービスの信頼性:SLA(Service Level Agreement)で保証されている稼働率や、データセンターのセキュリティ対策などを確認します。

  • サポート体制:24時間365日対応のサポート体制が整っているか、日本語でのサポートが可能かなどを確認します。

  • コスト:サービス料金だけでなく、データ転送料やストレージ料金なども含めた総コストを比較検討します。

  • 機能:自社の要件を満たす機能を備えているか、将来的に拡張できるかなどを確認します。

  • 実績:他の企業での導入実績や評判などを参考にします。

これらのポイントに加え、自社の事業規模や業界特性に合ったベンダーを選ぶことも重要です。

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まとめ

データの冗長化、迅速な災害復旧、コスト削減など、クラウドBCP対策がもたらすメリットは計り知れません。とくに、レプリケーション機能はデータ保護の観点から非常に重要です。Wasabiは東京リージョンと大阪リージョンをご用意しており、2拠点間でレプリケーションしていただくことが可能で、さらなる災害対策の強化が可能です。

クラウドBCP対策を検討する際は、自社のニーズに合ったサービスを選ぶことが重要です。導入ステップやベンダー選定のポイントを参考に、最適なクラウドBCP対策を導入し、企業の事業継続性を高めましょう。

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