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クラウドバックアップとは?企業のデータを守る3-2-1ルールについても解説します
「クラウドバックアップ」は、近年ますます注目を集めているデータ保護手段です。しかし、「クラウドにさえ保存しておけば大丈夫」という誤解も少なくありません。
そこで今回は、バックアップデータを守る「3-2-1ルール」の内容と、バックアップに適したクラウドサービスの選び方について解説していきます。これらの方法を実践することで、データ損失のリスクを大幅に軽減し、情報漏えいなどのトラブルも防ぐことができるでしょう。
クラウドバックアップとは?
クラウドバックアップとは、インターネット経由でデータをクラウド上のサーバーにバックアップすることです。従来のオンプレミスバックアップでは、自社内のサーバーやストレージにデータを保存していましたが、クラウドバックアップでは、データをクラウドサービスプロバイダーが管理するサーバーに保存します。
クラウドバックアップの普及は2000年代後半から始まりましたが、近年ではデータ量の増大やサイバー攻撃の増加、リモートワークの普及などを背景に、ますます注目度が高まっています。
クラウドバックアップの種類と仕組み
クラウドバックアップは、オンプレミスのバックアップ、ハイブリッドバックアップと並ぶ主要なバックアップの形態のひとつです。
クラウドバックアップでは、データはインターネットを通じてクラウドプロバイダーのサーバーに転送・保存されます。この際、セキュリティ対策としてデータは暗号化されるため、第三者に漏えいするリスクはほとんどありません。
なお以前は、自社サーバーなどにデータを保存するオンプレミスバックアップが一般的でした。しかしオンプレミスバックアップは高い初期投資と維持費を必要とするため、現在ではクラウドバックアップや、オンプレミスとクラウドバックアップの利点を組み合わせたハイブリッドバックアップが主流となっています。
クラウドバックアップのメリット
クラウドバックアップには、以下の4つのメリットがあります。
コスト削減
クラウドバックアップはオンプレミスバックアップと比較して、初期コストを大幅に削減できます。サーバーやストレージ、ソフトウェアなどの設備投資が不要なうえ、ストレージ容量も必要な分だけ利用できるため無駄なコストがかかりません。社内の人員を管理に充てる必要がないため、運用コストも削減できます。
データ保護
クラウドバックアップはデータ保護の面でも有利です。オンプレミスバックアップでは自社の施設内にデータを保存しますが、これに対し多くのクラウドサービスプロバイダーは、複数のデータセンターにデータを分散して保存します。これにより災害などによるデータ損失のリスクを低減できます。
運用負荷軽減
自社でサーバーを運用するオンプレミスと違い、クラウドではクラウドサービスプロバイダーがバックアップの実行や管理、保守を行うため、自社に運用負荷がかかりません。社内のIT担当者はバックアップの維持管理に費やす時間を削減できるため、他の重要な業務に集中できます。
災害対策
自然災害やその他の緊急事態が発生した場合にも、クラウドバックアップは企業のデータを守る重要な役割を果たします。データが地理的に分散された複数のデータセンターに保管されているため、一か所での問題が全体のデータに影響を与えることはありません。
なおWasabiでは東京リージョンと大阪リージョンをご用意しており、2拠点間でのレプリケーションが可能です。さらなる災害対策の強化につながるWasabi Hot Cloud Storageについては、をお読みください。
バックアップの3-2-1ルールについて
データ損失のリスクを最小限に抑えるバックアップ手法として注目されているのが「3-2-1ルール」です。
3-2-1ルールとは
3-2-1ルールでは、以下の3つのルールに基づいてデータをバックアップします。
3つのデータ
まず、同じデータを3つ(オリジナルデータと、2つのコピーデータ)用意します。これにより、なんらかの理由で1つまたは2つのデータが失われた場合でも、残りのデータによって業務の継続が可能です。バックアップが複数あることで、データ損失のリスクは大幅に減少します。
2種類の保存メディア
バックアップは異なる2種類のメディアに保存します。たとえば、ひとつは物理的なハードドライブに、もうひとつはSSDやクラウドストレージに、といった具合です。まったく異なる保存方法を選ぶことで、万一の事態が発生してもすべてのデータが同時に失われたり、一方のメディアに発生した障害がもう一方に影響を及ぼすリスクを避けることができます。
1つのオフサイトバックアップ
データのバックアップ先として、自社から物理的に離れた場所を少なくとも1か所選びます。バックアップが地理的に分散していれば、1か所で大規模な災害が発生した場合でもデータを安全に保つことが可能です。なお多くの企業は、バックアップ先としてクラウドサービスを利用しています。
3-2-1ルールの重要性
3-2-1ルールを採用することで、自然災害、火災、盗難、技術的故障など、あらゆる形のデータ損害から貴重なデータを守ることができます。万一深刻なトラブルが発生したとしても、データを復旧できる確率が飛躍的に向上し、ビジネスの中断を最小限に抑えることができるでしょう。
バックアップ向けクラウドサービスを選ぶポイント
クラウドバックアップサービスを選択する際には、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。企業の規模や業種によって重視すべきポイントは異なりますが、一般的にセキュリティ対策、データの可用性、コストパフォーマンスが重要な選択基準となります。
セキュリティ対策
クラウドサービスを選ぶ上で最も重要な要素のひとつがセキュリティです。データ漏洩やサイバー攻撃から企業の貴重な情報を守るためには、高度なセキュリティ機能を備えたクラウドサービスを選択することが欠かせません。
セキュリティ対策には、データの暗号化、マルチファクター認証、定期的なセキュリティ監査といった要素が含まれます。また、プロバイダーが業界のセキュリティ基準や規制にどの程度準拠しているかも評価の対象となります。
データの可用性
クラウドサービスではデータの可用性も重要な選択基準となります。災害発生時や緊急時にデータにアクセスできなければ、事業継続に大きな影響を与えるためです。
具体的には、サービスの稼働率とダウンタイムの頻度、データ復旧の所要時間と復旧ポイントの設定可能範囲、複数の地域にデータセンターを配置しているか、安定した高速なネットワーク接続の提供、24時間365日のサポート体制の有無などに注目するとよいでしょう。
コストパフォーマンス
クラウドサービスのコストパフォーマンスは、初期費用だけでなく、運用コストも含めた全体のコストを評価することが重要です。料金体系が明確で、予測可能なコストモデルを提供しているクラウドサービスを選ぶことで、予算内での運用が可能となります。
また事業規模の変化に対応するため、拡張や縮小が容易で、使用した分だけ料金が発生する柔軟な料金プランを提供するプロバイダーを選ぶことも有効です。
まとめ
クラウドバックアップは、データ保護の重要な手段です。しかし、単にクラウドへ保存するだけでは十分とは言えません。本記事では、データ損失のリスクを最小限に抑える「3-2-1ルール」と、バックアップに適したクラウドサービスの選び方について解説しました。これらの方法を実践することで、自社データの効果的な保護を目指してください。