AIストレージクラウド プレイブック:大規模環境におけるコストの効率化
AI開発や運用を検討する際、上層のAIモデルに注目しています。
データの移動に課金されるストレージ基盤では、AIプロジェクトはリリース前に行き詰まってしまいます。
1分でわかる概要
AIのコンピューティング需要は、バースト的に発生する傾向があります。AIモデルは数時間から数日間のトレーニングを一気に実施、その後は瞬時に停止します。しかし、ストレージは止まりません。トレーニングデータ、モデルの重み、推論ログ、コンプライアンスアーカイブは、トレーニングの有無にかかわらず、常にそこに存在していなければなりません。
それにもかかわらず、ほとんどのAIアーキテクチャではストレージに対する考慮は後回しにされています。
直線ではなく、ループ構造を描くAIパイプライン
再トレーニングのサイクル、微調整のパス、モデルの更新のたびに、データは6つの段階を通過します。各パスでは、クリーン化されたデータセット、インデックスのスナップショット、チェックポイント、ログといった新たな成果物が生成され、それらは蓄積され、残り続けます。そして、これらの成果物を読み取ったり移動したりするたびに、ハイパースケーラーはAPI呼び出し料金とデータ下り転送料金を請求します。
ストレージの占有容量は増え続けるばかりで、その増加が止まることはありません。
クラウドストレージ料金、その半分は保存費用ではなく手数料
パイプラインがデータを読み取り、書き込み、移動するたびに、ハイパースケーラーはその処理に課金します。AIモデルの反復処理のたびに請求額は膨れ上がります。チームにできる対応は限られています。トレーニングの実行をスキップする。価値あるデータを削除する。推論へのアクセスを制限する。AIチームはストレージの請求額ではなく、AIそのものに注力すべきです。
これはもはや予算の問題ではなく、イノベーションの問題になります。
AIストレージクラウドという、欠落したレイヤー
永続的で、コストが予測可能で、サイバーレジリエンスを備えたストレージ基盤が、AIパイプラインのあらゆる段階をつなぎます。これにより、コストのペナルティやロックインを気にすることなく、ツールが環境をまたいでデータを読み取り、書き込み、バージョン管理し、移動できるようになります。
どの組織にも、予算を圧迫せず、イノベーションを制限しない、AIプロジェクトの基盤となる支えが必要です。
予測可能な予算策定
定額料金制。データ下り転送料金やAPI呼び出し料金は不要。パイプラインを実行する前に、コストが把握できます。
デフォルトでのポータビリティ
Aオンプレミス、AWS、Azure、GCP、SaaSツールからアクセス可能。データを持ち出す際の料金はかかりません。
設計から信頼性を確保
不変性、暗号化、ゼロトラストのアクセス制御を、後付けではなく標準で搭載しています。
詳細
貴社のAIスタックに欠けているレイヤー
組織がAIへの投資を計画する際、予算は主にコンピューティングリソースに充てられます。GPU、TPU、トレーニングクラスター、推論インフラなどが主な項目となります。それ自体は当然のことです。しかし、こうした重点化によって見落としが生じる可能性があります。
AIのコンピューティング需要は、その性質上、バースト的に発生します。トレーニングは数時間から数日間続き、その後、スケールダウンするか終了します。一方、ストレージは根本的に異なる役割を果たします。ストレージの利用は継続的です。トレーニングを行っていないときでも、トレーニングデータは保存場所を必要とします。AIモデルの重みは、推論が行われるときはいつでもアクセス可能でなければなりません。ログは24時間体制で蓄積されます。また、コンピューティングコストとは異なり、ストレージコストは時間の経過とともに累積していきます。特に、契約しているプロバイダーが自社データにアクセスするたびに課金する場合、その傾向は顕著です。
AIスタックを一連のレイヤーとして想像してみてください。
最上層には推論とサービングがあります。
その下にはモデルのトレーニングと微調整があります。
中間層にはオーケストレーションとパイプラインがあります。
最下層には生データソースがあります。
オーケストレーションと生データソースの間には、ギャップがあります。本来あるべきレイヤーが、そこには存在しないのです。
AIストレージクラウドの居場所は、まさにこことなります。すなわち、パイプラインのあらゆる段階をつなぐ、永続的なストレージ基盤なのです。
ほとんどのアーキテクチャにおいて、このレイヤーへの考慮が実施されていません。そして、このレイヤーがない場合や、API呼び出しごとに課金されるハイパースケーラーのオブジェクトストレージが割り当てられたりすると、コストは反復のたびに膨れ上がっていきます。その結果、データの利用を制限してコストを削減するといった施策が実施され、トレーニングサイクルの省略、ひいてはモデルの品質の低下につながってしまいます。
ループするパイプライン
AIシステムは、データから展開まで一直線に進むわけではなく、ループ構造になっています。AIモデルはトレーニングデータをエンコードしますが、そのデータは次第に古くなっていきます。再トレーニング、微調整、再インデックス化は継続的に行われます。このサイクルを繰り返すたびに、新しい永続的な成果物が生成され、そのすべてにストレージが必要となります。
データ取り込み
処理内容:
ドキュメント、ログ、API、データベースからの生データは、中央リポジトリに格納されます。
ストレージ要件:
耐久性と高スループットを備えたランディングゾーンとなるストレージがなければ、このステップはパイプライン開始前からボトルネックになります。
クリーン化と事前準備
処理内容:
複数のソースから得られたデータが、クリーンで構造化されたデータセットへと変換されます。PII(個人識別情報)のマスキング、検索拡張生成(RAG)用のデータチャンク化、形式の正規化が行われます。
ストレージ要件:
このステップではストレージ容量が2倍以上になる可能性があります。オリジナルデータとクリーン化済みコピーの両方が必要になるためです。
インデックス作成と検索
処理内容:
メタデータにアクセス制御を組み込んだインデックスが構築され、迅速かつ安全なデータ検索が可能になります。
ストレージ要件:
インデックスのスナップショットを保存する耐久性の高いストレージがなければ、インデックスに障害が発生した際に、一から完全に再構築することになります。
AIモデルのトレーニング
処理内容:
構造化されたデータセットは、AIモデルがパターンを抽出し、それを重みに圧縮する過程で繰り返し読み込まれます。
ストレージ要件:
ハイパースケーラーのストレージは読み取りごとに、データ下り転送料金が発生します。チェックポイントは、実行後に費用対効果の高い保存場所を確保する必要があります。そうしなければ、チームはチェックポイントの作成を省略し始める可能性があります。
推論
処理内容:
トレーニング済みのAIモデルは本番環境で稼働し、応答の生成、ワークフローの実行、大規模なアプリケーションのサポートを行います。
ストレージ要件:
推論の呼び出しのたびにログが生成されます。これは監査証跡、コンプライアンス記録、そして将来の微調整用データセットとなります。ログは急速に蓄積され、証跡確認のため不変である必要があります。
ガバナンスとアーカイブ
処理内容:
規制を遵守するため、モデルの系譜、データセットのバージョン、構成履歴が維持されます。
ストレージ要件:
長期にわたり機密データが大規模に蓄積されるため、確実な不変性が求められます。ほとんどのハイパースケーラーでは、オブジェクトロックは追加料金がかかります。
AIの隠れたコスト
従来のワークロードにとって、こうした費用は大きな負担となります。一方、AIワークロードの場合、反復的なパイプラインのあらゆる段階でAIがストレージを利用するため、こうした費用は恒常的に発生するものとなります。
約50%
平均的なクラウドストレージ料金のうち、ストレージ容量ではなく手数料が占める割合
73%
ハイブリッドクラウド環境を運用している企業の割合。マルチクラウドの導入が進むにつれて、環境境界を越えるあらゆる段階で料金が発生しています。
トレーニング
データはストレージから繰り返し読み取られます。読み取るたびにデータ下り転送料金が発生します。微調整のサイクルが増えると、料金はあっという間に膨れ上がります。
推論
推論の呼び出しはすべてログを書き込みます。コンプライアンスや分析のためにログを読み取るたびに、API呼び出し料金が発生します。本番環境のAIは24時間稼働しており、請求も同様に絶え間なく発生します。
ガバナンス
オブジェクトロックは、ほとんどのハイパースケーラーで追加料金が発生します。コンプライアンスは必須であり、チームは料金を支払うか、リスクを受け入れるかのどちらかを選択せざるを得ません。
AIモデルの反復処理のたびにストレージ料金が発生すると、チームはリソース配分を制限し始めます。トレーニングサイクルが減り、保存されるデータ量が減り、推論へのアクセスもより厳しく制限されます。これにより、スキップされるサイクルが増えるごとにAIモデルの品質が低下していきます。
こうした課金をなくした組織は、単に支出を減らすだけではありません。より頻繁に反復・改善を行い、より多くのデータを保持し、より優れたAIモデルを構築しています。
ハイパースケーラー(S3 Standard) | Wasabi Hot Cloud Storage | |
|---|---|---|
| ストレージ容量(TB/月あたり)* | $23.55 | $7.99 |
| データ下り転送料金 | 課金(0.09ドル/GB以上) | なし |
| API呼び出し料金 | 課金(1,000オペレーションあたり) | なし |
| 不変性リクエストの料金 | 追加のAPI呼び出し料金 | 含まれる |
| 検索・取得/リハイドレーション | 課金(0.09ドル/GB以上) | なし(フェアユースポリシーの対象) |
| 月額料金の予測可能性 | いいえ | はい |
*ハイパースケーラーの価格は、2026年8月時点のAWS S3 Standardの米国東部(バージニア北部)リージョンにおける最初の50TBの定価です。ストレージ料金は1GBあたり月額0.023ドルで、1TBあたり1,024GBで課金されます。AWSのストレージ料金は50TBと500TBを超えると段階的に引き下げられ、データ下り転送料金は月間10TBを超えると段階的に引き下げられます。Wasabiの料金は従量課金制の定価で、月間最低1TB、最低90日間のストレージ期間が適用されます。無料のデータ下り転送と無料のAPI呼び出しは、Wasabiのフェアユースポリシーの対象です。
AIストレージクラウド
AIストレージクラウドは、生データの取り込みからガバナンスに至るまで、AIパイプラインのあらゆる段階をつなぐ永続ストレージレイヤーです。これにより、コストのペナルティやロックインを気にすることなく、ツール間でデータを繰り返し読み書きしたり、バージョン管理を行ったり、環境間で移動させたりすることが可能になります。
これはGPUの一時領域ではなく、メインのデータベースでもありません。これは、反復処理を可能にする常時稼働の基盤となるものです。
- 01 予測可能な経済性
定額料金制により、API呼び出し、データ読み取り、トレーニングサイクルをすべて実行しても、予期せぬ請求が発生することはありません。パイプラインを実行する前に、コストを把握できます。
- 02 デフォルトでのポータビリティ
オンプレミス、AWS、Azure、GCP、SaaSなどいかなる環境からもアクセスできるため、データはコンピューティング環境のある場所に自由に移動でき、毎回転送料金を支払う必要はありません。
- 03 信頼できる設計
不変性、AES-256暗号化、きめ細かなIDおよびアクセス制御を標準で搭載。コンプライアンス監査の後に後付けするのではなく、最初の1バイトから監査に対応できます。
Wasabiのサポート
Wasabiは、組織がいつでもペナルティなしにすべてのデータを保存し、アクセスできる必要があるという信念に基づいてサービスを提供しています。これはAI時代以前からの信念ですが、現在はより多くの反復作業、より多くのデータ保存、そしてより優れたAIモデルの構築を必要とするあらゆる組織にとって、AIをより実現可能で信頼性の高いものにするアプローチとなっています。
まさにAIストレージクラウドに求められるもの
WasabiはGPUのスクラッチレイヤーではありません。スクラッチレイヤーはコンピューティング環境が担います。Wasabiは常時稼働するストレージレイヤーであり、データの取り込み、準備、推論ログ記録、および長期的なガバナンスのための基盤を提供します。
予測可能で定額制の料金設定
データ下り転送料金なし。API呼び出し料金なし。オブジェクトロックの追加料金もなし。1TBあたり月額の単一定額料金で、ハイパースケーラーのストレージよりも最大80%安く、パイプラインの実行量が計画を上回っても、予期せぬ追加料金は発生しません。
高速でアクセスしやすいホットストレージ — 単一階層、常時稼働
すべてのデータがホットティアに格納されます。階層の選択、データ取得計画、データ復旧待ちは不要です。生データを取り込むストレージと同じストレージに、推論ログとコンプライアンスアーカイブも格納され、価格と速度も変わりません。
サイバーレジリエントな設計を標準装備
保存データはAES-256暗号化、転送データはHTTPSで保護されています。オブジェクトロックによる不変性が追加料金なしで提供されます。マルチユーザー承認(MUA)により、複数ユーザの承認無くデータを削除することはできません。さらに、Covert Copy™テクノロジーにより、コンソールやAPIからデフォルトで見えない保護されたコピーが作成されます。
段階 | Wasabiの役割 |
|---|---|
| データ取り込み | あらゆるソースからの未加工の非構造化データを一元管理する、高性能かつコスト効率に優れたランディングゾーン |
| クリーン化と事前準備 | クリーン化されたデータセットと元のデータセットを管理するシステム。コストを気にすることなく反復処理が可能 |
| インデックス作成と検索 | インデックスのスナップショットやバージョンを長期保存する耐久性の高いストレージ。リカバリーとポータビリティが可能 |
| AIモデルのトレーニング | AIのトレーニングデータセット、モデルレジストリのアーティファクト、およびチェックポイントを保存。GPUのスクラッチレイヤーではありません。 |
| 推論 | 評価、監査、および将来の微調整の基盤となるログ、設定、および出力を保存 |
| ガバナンスとアーカイブ | AIアーティファクトを長期にわたり管理する、不変かつ監査可能な記録システム。コンプライアンス対応済み |
次のステップ
AIパイプラインは既に稼働しています。問題は、その基盤となるストレージレイヤーが反復処理に対応できるように設計されているか、それともサイクルごとに密かにコスト負担をかけ続けるように設計されているかの確認です。
よくあるご質問
AIストレージクラウドとは、生データの取り込みからガバナンスおよびコンプライアンスアーカイブに至るまで、AIデータパイプラインのあらゆる段階をつなぐ永続ストレージレイヤーです。GPUの一時領域でもなければ、メインのデータベースでもありません。コストのペナルティやロックインなしに、ツールが環境をまたいでデータを繰り返し読み取り、書き込み、バージョン管理し、移動できるようにする、常時稼働の基盤です。
AIデータパイプラインは、データ取り込み、トレーニング、推論、ガバナンスを継続的にループしており、このサイクルを通過するたびにデータの読み取りと移動が発生します。ほとんどのハイパースケーラーは、API呼び出し、データ下り転送、オブジェクトロックのリクエストごとに課金します。AIは反復的なパイプラインのあらゆる段階でストレージを利用するため、こうした料金はトレーニングの実行のたびに累積していきます。平均的なクラウドストレージ料金のほぼ半分は、ストレージ容量ではなくこうした手数料です。
Wasabiは、単なるストレージとしてではなく、パイプライン全体に適合するように設計されています。データ取り込みの段階では、未加工の非構造化データのための高スループットなランディングゾーンとして機能します。トレーニングの段階では、データセット、モデルレジストリのアーティファクト、チェックポイントを保存します。推論の段階では、評価や将来の微調整に活用されるログや出力を保持します。ガバナンスの段階では、不変かつ監査可能な記録システムとして機能します。単一階層、単一価格で、あらゆる段階で利用可能です。
Wasabi Hot Cloud Storageの料金は、1TBあたり月額7.99ドルの単一定額制です。データ下り転送料金、API呼び出し料金、オブジェクトロックの追加料金、データの取得やリハイドレーションの費用は一切かかりません。すべてが単一のホット階層に格納されるため、階層化の決定は不要で、データにアクセスできるようになるまで待つ必要もありません。トレーニングでデータが繰り返し読み取られ、推論ログが24時間蓄積され、ガバナンスには確実な不変性が求められるAIワークロードにおいて、この定額料金はパイプラインのあらゆる段階に一律に適用されます。各段階で料金が加算されるハイパースケーラーのストレージと比較して、Wasabi Hot Cloud Storageは最大80%も安価であり、パイプラインのトレーニングサイクル数にかかわらず、月額料金は予測可能なままです。
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このページの内容に加え、パイプラインの各段階に関するより詳細な技術情報、コスト分析の全文、AIストレージクラウドのチェックリストを収録。チーム、経営陣、調達部門と共有できるPDF形式でご提供します。
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