ジェネラル

クラウドロックインとは?想定される3つのリスクと対策について解説します

2024 April 19By Mayuko Yoshitome

近年、大企業から中小企業、零細企業にいたるまでクラウドサービスの利用が増えています。多くの会社が自社のデータやサービスをクラウドに移動する一方で、それに伴う問題として注目されているのが「クラウドロックイン」です。

この記事ではクラウドロックインの概要と考えられるリスク、そしてリスクを回避する方法について解説します。

クラウドロックインとは

クラウドロックインとは、企業が特定のクラウドサービスプロバイダーの技術やサービスに強く依存することにより、他のプロバイダーやサービスへの移行が困難になる現象のことです。

現在、世界のパブリッククラウドサービス市場では大手IT5社(Microsoft、Amazon、IBM、Salesforce、Google)のシェアが全体の約半数(48.2%)を占めています。

GlobalShare-graph

引用:総務省|令和5年版 情報通信白書|クラウドサービス

この結果、ユーザー企業のあいだでは大手のサービスに異存するクラウドロックインが多発していると考えられます。自社のデータをクラウドに移行する企業が増えれば増えるほど、クラウドロックインは今後ますます増えていくことでしょう。

クラウドロックインのリスク

クラウドロックインは、コスト面で大きなリスクとなる可能性があります。

日々の利用コスト

クラウドサービスの料金はプロバイダが自由に設定します。このため特定のクラウドに依存している状況では、プロバイダによる料金体系の変更やサービスの価格上昇によって日々の利用コストが増え、大きな負担となりかねません。

将来的にどの程度コストが上昇するかを事前に予想したり、見積もったりすることは困難です。ある日突然、想定外のコストが発生して驚かされる可能性もあるでしょう。

退出コスト

プロバイダのなかには、「下り転送料金」を設定しているところも少なくありません(参考記事:Google は下り転送料金を「廃止」しなかった)。このようなクラウドに依存していたユーザー企業が別のクラウドに移行しようとした場合、高額な退出コストが発生することになります。

クラウドロックインのリスクを回避するには

クラウドロックインは自社のサービスや経営に大きな影響を与えるリスクです。ここではクラウドロックインを避けるための、代表的な方法を紹介します。

ハイブリッドクラウドを利用する

クラウドロックインを避ける代表的な方法のひとつが「ハイブリッドクラウド」です。ハイブリッドクラウドとはクラウドサービスとオンプレミスを併用することで、物理環境もしくはプロバイダに障害や問題が発生した際のダメージを低減できます。

具体的なハイブリッドクラウド戦略としては、たとえば外部向けのサービスをクラウド上に置き、自社の機密情報をオンプレミスに保管する方法などが考えられます。

マルチクラウド戦略を活用する

別の方法として考えられるのが「マルチクラウド」です。マルチクラウドとは複数のクラウドサービスを組み合わせて利用することで、それぞれのベストな機能を利用しながら、一方のプロバイダに障害や問題が生じた際のリスクを分散できます。

マルチクラウド戦略はユーザー企業によってさまざまですが、たとえば複数のクラウドにワークロードを分散させたり、バックアップ環境を別のクラウドに構築するなどの活用方法が考えられるでしょう。

オープンソースのソフトウェアを利用する

オープンソースのソフトウェアでアプリケーションを開発する、汎用的なサービスを組み合わせて利用するといった方法でクラウドロックインを回避できる可能性があります。

またデータを標準的な形式で作成・管理することで、異なるシステム間での互換性が保たれ、移行時のコストや労力を削減することもできます。将来的に、他のクラウドへの移行を検討する場合にも有効でしょう。

契約内容を慎重に検討する

クラウドサービスの利用を始める際、プロバイダとの契約内容を慎重に検討することも大切です。たとえば将来的なクラウドの移行を制限するような条項は、クラウドロックインにつながる可能性があります。このような場合は契約内容について、プロバイダと相談・交渉する必要があるでしょう。

まとめ

クラウドロックインは避けるべきリスクですが、適切な戦略と対策を行うことで、そのリスクを最小限に抑えることが可能です。自社のビジネスモデルに最適なクラウド戦略を見つけて、柔軟かつ効率的な運用を目指しましょう。

secoundary-backup
ジェネラルクラウドを活用した2次バックアップとは?ランサムウェア対策の最新トレンドを解説

SINET6経由でWasabiが利用できるようになりました!