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INDUSTRY

クラウド予算を抑えて医療ITコストを削減

2025 October 24Ted Basile

現代の医療業界には、非常に大きなプレッシャーがかかっています。病院や医療機関では、人員不足や運用コストの上昇をはじめ、コンプライアンスの遵守、競争力の維持などに対応する必要があるほか、特にITの分野に関して、少ないリソースでより多くの成果を上げることが求められています。予算は限られていても、データの需要が尽きることはありません。

医療データの保存は、このストレスを最も顕著に表しています。医療機関は、厳格なHIPAAコンプライアンス要件に基づき、患者データを何年も、場合によっては何十年も保持する必要があります。さらに、大量のデータを安全に保存するだけでなく、監査機関がいつでも確認できるように常にアクセス可能な状態で適切に保護することが求められます。

ほぼ無限の拡張性と柔軟性を備えたクラウドコンピューティングが登場したことで、医療業界におけるデータストレージの課題は完全に解決したかのように思われました。しかし、クラウドストレージは便利でコンプライアンスにも対応している一方、隠れたコストがかかる傾向にあり、すぐさま新たな課題が発生することになりました。

複雑な価格プラン、データへのアクセスやデータ取得にかかる料金、非アクティブなデータを長期保存するための継続的な費用など、予測できないコストに多くの病院が悩まされる可能性があります。「使用した分だけ支払う」というプランを選んだ場合でも、思いがけないコストが加算された請求書が届くこともあります。

医療機関には、予期せぬコストがかからない状態でクラウドストレージ本来のメリットを得られる、よりスマートなアプローチが必要です。適切なクラウドストレージを選択することで、医療ITチームは使いやすいツールで予測可能なコスト管理、患者データの保護、ランサムウェア回避を実現することができます。

医療業界のストレージ特有のニーズを把握する

医療機関に必要なクラウドストレージをより深く理解するには、この業界に求められるストレージの複雑さを認識する必要があります。 以下の課題は、多くの場合、IT予算にも影響を及ぼします。 

長期保存

患者データは長期的に保持する必要があります。医療記録は、患者の治療計画に欠かせない要素です。X線やMRIスキャンなどの医療画像は品質と解像度が向上しており、健康上の問題を特定するのに非常に役立ちますが、これらのデータを保存するにはより大きなストレージ容量が求められます。  

また、業界の規制により、病院や医療機関では患者の記録および画像データを最長20年間保管することが義務付けられる場合があります。実際、小児科の記録の中には、患者が30代になるまで保存しなければならないものもあります。規制で定められた期間データを保持しない場合、高額な罰金がかかる可能性があります。 

私たちが保有する医療データのなかには、1990年代まで遡って保存することが義務付けられているものもあります。これまでは、週末を丸ごと使ってバックアップ作業を行う必要がありました。古いデータすべてを別の場所に低コストで保存できるだけでなく、どの年のファイルが必要になった場合でも関係者がいつでも簡単にデータを取り出せるソリューションを求めていました。

District Medical Group、最高情報責任者、Kevin Rhode氏

バックアップ

医療データは患者の治療を大きく左右するため、バックアップが不可欠です。必要に応じてバックアップデータを保持することで、コンプライアンスに対応することができます。また、組織が罰金を科されることなく監査を通過するのにも役立ちます。

医療機関では、インシデント発生時にビデオ映像を確認できるように、監視データを定期的にバックアップする必要もあります。ビデオ映像の保持に関する規制は、医療における標準的なデータ保持義務とは異なる場合がありますが、他の規制と同様に重要であることは変わりありません。   

予算オーバーになりがちな医療クラウドコスト

バックアップを含む長期のデータ保存は、医療機関のIT予算を大きく圧迫する要因のひとつです。それでも、ストレージが必要であることに変わりはありません。 

2025年版Wasabi Cloud Storage Indexレポートでは、調査対象の医療機関のうち、2024年にクラウドストレージ予算が超過してしまった組織の割合は57%を占めました。予算オーバーになった理由は多岐にわたります。 

  • データ運用料が予想を上回った(48%)

  • 実際のストレージ使用量と拡張率が予想を上回った(37%) 

  • クラウドプロバイダーによるストレージコストの値上げ(48%)  

  • API呼び出し料(PUTおよびGET、読み込みおよび書き出し、復元)が予想よりも上回った(27%) 

  • データ取得料が予想よりも上回った(41%) 

  • データ削除料が予想よりも上回った(25%) 

  • 下り転送料が予想よりも上回った(26%) 

このデータから、大半の医療機関においてIT予算の予測と実際の支出が大きく乖離していたことがわかります。また、調査対象のうち、1/3の組織は、クラウドストレージへの支出が「予算を大幅に超過した」と報告しています。

注目すべき点は、データのわずか19%のみが、1年に1回未満しかアクセスされない「コールド」データだったことです。つまり、残りの81%は頻繁に使用およびアクセスされるデータであるということです。 

また、先述した予算オーバーの要因7つのうち、4つはデータアクセスに関連しています。これは、医療機関がデータを長期保持する必要がある一方で、時折または頻繁にデータにアクセスする必要があることを示しています。そして、データアクセスによる手数料はあっという間に増加する恐れがあります。 

予期せぬ出費がIT予算以外にも大きな損害をもたらす可能性 

クラウドストレージ料金は、医療業界に明らかな影響を及ぼしています。Cloud Storage Indexレポートでは、クラウドストレージのサブスクにかかった総額のうち追加料金が課された割合として、最も多かった回答は31~40%でした。これでは、2024年に多くの組織が予算オーバーになってしまったのも不思議ではありません。

具体的には、どういった作業に対する料金が医療業界全体の予算を圧迫しているのでしょうか?これは、クラウドストレージで実行するさまざまなアクションひとつひとつに少額の料金が発生しているのです。そういったアクションの例には、以下のものが含まれます。

  • GET-データの読み取りまたは取得 

  • PUT-データの変更または修正

  • APIリクエスト・API呼び出し-GET、PUT、その他の操作の総称。APIが操作を実行

  • 下り転送-保存場所からのデータ転送 

クラウドストレージの基本料金に加えて、保存したデータへのアクセス、移動、変更、さらには削除など、何らかの操作を行うたびに料金が請求される可能性があるのです。

こういった状態は、予算の超過にとどまらず、組織における業務の妨げとなることもあります。Cloud Storage Indexレポートレポートによると、下り転送およびアクセス料金が加算されたことでIT業務やビジネスに遅延・悪影響が及んだとした回答者は53%を占めました。  

追加料金が発生する場合、組織内でバックアップテストや検証を行う頻度が減る可能性があります。また、サイバーレジリエンス向上に役立つイミュータブル機能を取り入れない組織が出てくるかもしれません。さらに、分析やAIイニシアチブに向けたデータ取得が延期される場合もあります。より適切なプラットフォームに移行せずに、必要な機能を提供しない場所にデータを保存し続けることで、さらに料金が発生することも考えられます。  

料金が医療業界全体で大きな負担となっている今、そういった料金が発生せず、信頼性の高いクラウドストレージが求められています。

手数料なしのWasabiでクラウドコストを削減

Wasabi Hot Cloud Storageは、お手頃かつ予測しやすい明瞭な価格プランで、IT予算を圧迫しないスマートなソリューションです。私たちは、アクセス頻度に関係なく、すべてのデータにアクセスしやすい単一層の高性能ストレージを提供します。 

臨床データの場合、いつ、どのデータが必要になるかはわかりません。そのため、下り転送料が発生しないWasabiのモデルは非常に便利でした。予期せぬコストを心配することなく、いつでも大量のデータにアクセスすることができます。

Imperial College Healthcare NHS Trust、テクニカルアーキテクト、Yusuf Mangera氏

クラウドストレージのコストを大幅に押し上げる下り転送料、APIリクエスト料などは一切請求されません。Wasabiのユーザーが支払うのは、テラバイトあたりの月額料金のみです。さらに、Wasabi Account Cloud Managerを使うことで、組織全体にわたるクラウドストレージの集中管理とプロビジョニングを容易かつ直感的に行うことができます。

Wasabiのクラウドストレージは使い方が簡単で、複雑なツールやスキルは必要ありません。しかし、シンプルで予測可能な価格設定だからと言って、Wasabiのストレージサービスが大手他社よりも劣っているわけではありません。Wasabiでは、強力なサポートを得ながら無料かつ高度なセキュリティ機能を活用し、機密性の高いデータを保護することができます。また、WasabiはHIPAAをはじめ、プライバシーやセキュリティに関する業界規制への準拠もサポートしています。こういった要素に役立つツールとして、単独のユーザーによるデータ削除を防止するマルチユーザー認証、オブジェクトロックによるイミュータブル機能、下り転送の監視とバケットログ記録、無料かつ安全なレプリケーション機能などが挙げられます。

Wasabiは、バックアップデータアーカイブデータに必要なタイミングでアクセスできる、最適なソリューションです。さらに、高度なセキュリティ機能であらゆるランサムウェアに対応し、データ保護戦略を強化します。

結論

多くの医療機関では、サービス品質を低下させることなくコストを抑えるというプレッシャーが高まっています。そのため、クラウドストレージについて再考し、予測可能なコスト内で必要な柔軟性と拡張性を備えたソリューションを見つける必要があります。  

Wasabiはそういったニーズに応え、安全で使いやすく、コスト効率に優れたクラウドプラットフォームで多くの医療機関をサポートしてきました。医療機関は、コストを抑えた状態でデータを安全に保存でき、追加料金なしでいつでもアクセスできるという安心感を得ることができます。また、予期せぬ料金がかからず予算に余裕が生まれることで、余った資金を他の戦略に投入し、新しい患者サービスの提供と成果の向上に注力できるようになります。 

アナリストレポート

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