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データの長期保存はクラウドが最適?安全で低コストな運用法を解説
重要なデータをクラウドで長期保存するには、セキュリティ、コスト、可用性を考慮した運用が必要です。本記事では、長期保存に適したクラウドストレージの種類や選定ポイント、バックアップ・アーカイブや階層化といったクラウド運用戦略など、安全かつ効率的にデータを長期間保管するための方法を解説します。
データの長期保存にクラウドが選ばれる理由
ビジネスにおけるデータ価値の向上と、それに伴うデータ量の増加は、企業の保管体制やコストに大きく影響しています。
従来、データ保存は自社内でサーバーを管理するオンプレミスが主流でしたが、ハードウェアの老朽化や拡張性の限界、運用コストの高さといった課題がありました。これに対してクラウドには、初期投資を抑えられることや、データ量に応じて柔軟に容量を拡張できるスケーラビリティ、運用負荷の軽減など、大きなメリットがあります。
こうした背景から、データの長期保存先としてクラウドが選ばれるようになっています。
長期保存に利用されるクラウドストレージの種類
クラウドストレージは、データのアクセス頻度や用途に応じて複数の種類が用意されています。それぞれの特徴に応じて、適切に使い分けることが重要です。
ホットストレージ
日常的に使用される、アクセス頻度の高いデータを保存するためのストレージです。高速なデータアクセスが可能ですが、その分ストレージ単価は他の階層に比べて高めに設定されています。
ウォームストレージ
アクセス頻度はそれほど高くないものの、必要になった際には即時アクセスしたいデータの保存に適しています。ホットストレージよりは低コストで、後述するコールドストレージよりは高速にアクセスできる、コストと即時性のバランスが取れたストレージです。
コールドストレージ
コンプライアンス対応や記録保持のために、ほとんどアクセスしないデータを非常に低コストで保管できるストレージです。ただし、サービスによりデータの取り出し(復元)時間は大きく異なり、数時間〜数日程度と幅があります。このため即時性が求められるデータにはあまり向きません。また、取り出し時に追加コストが発生するサービスも多く存在します。
長期のデータ保存に適したクラウドストレージの選定ポイント
クラウドストレージを選定する際は、価格の安さだけでなく、ビジネス要件を満たすサービスかどうかを多角的な視点で評価することが不可欠です。
堅牢なセキュリティとコンプライアンス対応
長期保存においては、保存時と転送時の暗号化、アクセス権限管理、多要素認証といった堅牢なセキュリティ機能が不可欠です。さらにISO/IEC 27001等の第三者認証を取得しているか、国内では個人情報保護法や電子帳簿保存法、海外取引ならGDPRなどの法規制に準拠しているかも重要な確認事項です。これらが整備されていることで、情報漏えいや不正アクセスのリスクを最小限に抑え、法的要件を満たした運用が可能となります。
料金体系の分かりやすさ(追加料金の有無)
クラウドは単純な容量料金だけでなく、データ転送料金やAPIリクエスト料が発生する場合があります。特にデータ取り出し(エグレス)時に想定以上の費用が発生する場合も少なくありません。そのため、総合的なコストを試算し、料金体系が明確で予測可能なサービスを選ぶことが大切です。「エグレス料金が無料」といったシンプルなモデルを採用するサービスは、長期的にコスト管理しやすい点でメリットがあります。
ビジネスを止めないパフォーマンスと可用性
データの可用性は、長期保存においても非常に重要です。SLA(Service Level Agreement)で高可用性を保証するサービスを選ぶことで、障害時にも迅速にアクセスできる環境を確保できます。また、アーカイブデータであっても必要に応じて短時間で取り出せるかどうかは、業務継続性に直結します。保存コストが安くてもアクセス性が低ければ実用性を損なうため、パフォーマンスと可用性を両立するサービスを選びましょう。
安全・効率的なデータ長期保存を実現する運用戦略
長期保存の安全性とコスト効率を高めるためには、適切なクラウドサービスを選定したうえで、データの特性に応じた運用戦略を策定することが重要です。
バックアップとアーカイブの違いを正しく理解する
バックアップとアーカイブは混同されがちですが、目的が異なります。バックアップの目的はシステムの障害に備えた「復旧」であり、アーカイブの目的は利用頻度の低いデータを「長期保管・参照」することです。データを安全かつ効率的に長期保存するためには、まず目的を明確にしたうえで、それぞれに適した運用方法を設計する必要があります。
クラウド階層化によるコストとパフォーマンスの最適化
すべてのデータを単一の高価なストレージに置く必要はありません。データの価値やアクセス頻度に応じて、ホット、ウォーム、コールドといった適切なストレージ階層へ自動的にデータを配置する「階層化」を検討してみましょう。階層化を適切に行うことで、コストを最適化しながら、必要なデータへのアクセス性も確保するという、理想的なデータ管理を実現できます。
まとめ
DXの進展により増え続けるデータを安全かつ効率的に管理するために、クラウドはデータの長期保存に最適な選択肢と言えます。しかし、そのメリットを最大限に引き出すためには、目先の保存料金だけでなく、セキュリティやコスト(特にデータ取り出し料金)、さらに可用性の3つの観点からサービスを慎重に評価することが非常に重要です。
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